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  4. 温度分布の見方

温度分布の見方

赤外線サーモグラフィで重要なのは、単発の温度値ではなく、温度分布を比較して異常傾向を読むことです。
設備診断では、同一設備内の左右差、相間差、流れ方向、負荷条件、周辺部との温度勾配を見て判断します。温度分布は、異常の有無を直接断定する道具ではなく、異常候補を絞り込むための比較情報です。

温度分布の見方

このページでは、温度分布の見方を「何を見るか」「どこまで判断できるか」「どこで誤診するか」に分けて整理します。

1温度分布の見方とは何か|見るべきなのは絶対温度ではなく比較差

温度分布の見方とは、サーモ画像の色だけを見ることではありません。
同条件下での温度差・分布形状・広がり方・偏り方を読むことです。設備診断では、正常機との比較、左右比較、相比較、時間変化比較が基本になります。

設備診断における温度分布の見方は、次の4点に要約できます。

  1. 局所高温か、面状高温か
     点で高いのか、面として広がっているのかで原因候補が変わります。
    接触不良や局部摩擦は局所化しやすく、断熱不良や流体温度差は面として出やすいです。
  2. 周辺と比べて不自然な差があるか
     同じ電流、同じ荷重、同じ構造で比較したときに差があるかを見ます。
    絶対温度だけでは判断しません。
  3. 温度勾配が自然か、不自然か
     自然な加熱は滑らかな勾配になりやすく、不自然な異常は境界が急だったり偏りが出たりします。
  4. 再現性があるか
     負荷を変えたとき、時間を変えたときにも同じ傾向が出るかを確認します。

結論|温度分布は「比較」で読む
高温に見えても、比較対象がなければ異常とは断定できません。

2設備診断で見るべき温度分布パターン|局所高温・左右差・流れ方向

実務では、サーモ画像全体を漠然と見るのではなく、異常を示しやすい分布パターンに注目します。
特に、局所高温、左右差、相間差、流れ方向の偏り、接触部だけの発熱は、設備診断で使いやすい判断軸です。

設備診断で見るべき温度分布パターン|局所高温・左右差・流れ方向

現場で見やすい代表パターンは次のとおりです。

パターン見え方主な対象判断の要点
局所高温一点または狭い範囲だけ高い端子、接続部、軸受、摩擦部接触不良、局部摩擦、集中発熱の可能性
左右差同構造なのに片側だけ高いモーター、軸受、回転体、配管同条件比較が前提
相間差三相のうち一相だけ温度差が大きい配電盤、端子台、遮断器負荷差か接触異常かを分ける
面状高温広い範囲が面で高い断熱、炉壁、熱交換器、建物外皮熱損失、断熱不良、流体条件の影響
流れ方向の偏り上流下流で不自然な差配管、熱交換器、ダクト閉塞、付着、流量差の可能性

温度分布の意味は設備ごとに異なります。見え方だけで故障名を断定しないことが重要です。

3温度分布で誤診しやすい例|反射・放射率・ピント不良・負荷条件不足

温度分布は便利ですが、見えたままを信じると誤診しやすい分野です。
特に、反射、低放射率、観察角度、ピント不良、負荷不足は、異常らしく見えて実際は異常でない典型例です。

温度分布で誤診しやすい例|反射・放射率・ピント不良・負荷条件不足

誤診しやすい要因は、設備診断の実務では次の5つが中心です。

誤診要因何が起きるか実務上の対策
反射周囲熱源が映り込み、高温に見える角度変更、背景確認、反射源確認
低放射率金属表面が実温度とずれて見える放射率補正、テープ貼付、比較診断重視
ピント不良境界が曖昧になり、局所異常が広く見える合焦確認、同距離再撮影
距離・画角不適切小異常を平均化して見逃す対象サイズに合うIFOV確認
負荷条件不足異常が温度差として出ない定常負荷時に再測定

NG 単発温度だけで判断

OK 反射・放射率・負荷条件を確認して比較


STEP 01

条件確認

STEP 02

撮影

STEP 03

比較

STEP 04

他手法確認

4温度分布からどこまで判断できるか|確定診断ではなく異常候補の絞り込み

温度分布は強力ですが、それだけで故障原因を確定できるとは限りません。
サーモグラフィは、異常の有無を直接断定するというより、異常候補を見つけて、点検・他手法診断へつなぐ一次診断手法として使うのが実務的です。

度分布から判断しやすいことと、判断しにくいことを分けると次のとおりです。

判断しやすいこと判断しにくいこと
温度差の存在故障原因の断定
異常候補の位置劣化度の最終評価
比較上の不自然さ内部構造の詳細状態
時系列での悪化傾向単独画像だけでの寿命予測

したがって、次のような使い分けが実務向きです。

  • サーモグラフィ:異常候補の可視化
  • 工業用内視鏡:内部状態確認
  • 振動診断:機械異常の周波数分析
  • 超音波カメラ / 超音波検知:漏れ、部分放電、摩擦音の確認
 測定誤差と対策
 放射率とは
 正しい測定手順
 配電盤の異常発熱診断
 モーター・軸受の温度診断

よくある質問 FAQ

温度分布の見方は、温度が高いところを探すことですか?

それだけでは不十分です。実務では、絶対温度よりも、同条件下での比較差・分布形状・偏り方を見ます。単発高温だけで異常と断定すると、反射や低放射率の影響で誤診しやすくなります。

温度分布の見方とNETDは同じですか?

違います。温度分布の見方は画像の解釈で、NETDは機器の温度分解能です。NETDは製品選定寄りの指標で、温度分布の見方は診断実務寄りのテーマです。

配電盤では何を比較すればよいですか?

三相の相間差、同一系統内の端子差、同負荷条件での左右差が基本です。単独温度ではなく、同一条件の比較対象を持つことが重要です。

金属面の温度分布はそのまま信じてよいですか?

低放射率金属面では注意が必要です。反射や放射率設定の影響を受けやすいため、補正、角度調整、比較診断、場合によっては補助材の使用を検討します。

温度分布だけで異常原因を断定できますか?

できないことが多いです。温度分布は異常候補の抽出に有効ですが、原因確定には他手法や現物確認が必要です。

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*本記事は、一般的な測定原理および選定の考え方を解説する技術情報です。記載内容は参考情報であり、特定用途への適合性、測定結果、法令・規格への適合を保証するものではありません。機器選定および運用に際しては、最新のメーカー仕様書および関連規格をご確認ください。

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