0.1マイクロメートルの塵が、巨大な損失を生む世界があります。半導体、医薬品、精密機器の製造において、空気の清浄度は品質そのものです。微粒子を徹底的にカウントし、管理(マネジメント)することで、製品の信頼性は極限まで「熟成」されます。

粉じん計とパーティクルカウンターの決定的な違い
測定目的と単位が異なります。粉じん計は「質量濃度(mg/m³)」を測り労働衛生管理に用い、パーティクルカウンターは「個数濃度(個/m³)」を測り精密製造の清浄度管理に使用します。
| 名称 | 測定対象 | 主な用途 |
|---|---|---|
| パーティクルカウンター | 個数濃度(個/m³) | クリーンルーム・品質管理、対象粒径=0.1µm〜 |
| 粉じん計 | 質量濃度(mg/m³) | 作業環境測定・大気汚染、対象粒径=PM2.5 / PM10など |
技術営業担当者『どのくらいの重さの塵があるか』を知りたいか、『特定の大きさの塵が何個あるか』を知りたいかで、選ぶべき機器が完全に分かれます。
粉じん計(デジタル粉じん計)の選び方と法規制への対応
粉じん計は、作業員の健康被害を防ぐ「労働衛生管理」や「ビル管法」に基づく環境測定に必須です。選定の際は、対象とする粉じんの種類(PM2.5、浮遊粉じん等)と、法規制への適合基準を満たすかが問われます。
| 対象 | ||
|---|---|---|
| ビル・建築物衛生管理(ビル管法) | ||
現場環境に合わせたパーティクルカウンターの選び方
測定環境が機種選定の鍵です。クリーンルームにはISO適合機、オイルミスト環境には耐性機、大空間の評価には大流量(100L/min)モデルを選定し、センサーの飽和(故障)を防ぎます。
クリーンルーム・医薬品工場
- ISO 21501-4 (JIS B 9921) 適合機器
例:リオン KC-52A
MET ONEシリーズ - サンプリング流量 2.83L/min 以上
一般大気・室内環境
- PM換算対応、高濃度対応機
例:Model 5300P
DC170-PM
測定精度を担保する校正とデータインテグリティ
測定データの信頼性は、ISO準拠の定期校正によって担保されます。また、製薬業界ではALCOA原則に基づく監査証跡(データインテグリティ)対応機が必須要件となりつつあります。
* サンプリング流量の罠:
流量2.83L/minの機器と50L/minの機器では、1m³の空気をサンプリングする時間が異なります。
清浄度が高い環境ほど、大流量モデルで統計的信頼性を高める必要があります。
導入から運用までの実務チェックリスト
導入の失敗を防ぐため、「対象粒径」「流量」「通信出力」「バリデーション(IQ/OQ)対応」の4点を確認してください。現場の要求仕様とカタログスペックのズレをなくします。
チェックリスト
- 測定したい最小粒径(0.3µm か 0.5µm か)は合っているか?
- 測定環境の予想濃度は、機器の「最大可測濃度」を超えていないか?
- ネットワーク構築やPCへのデータ転送形式(USB/Wi-Fi/アナログ出力)は適しているか?
- 校正証明書やトレーサビリティ体系図の発行(有償)に対応しているか?
よくある質問と回答(FAQ)
- パーティクルカウンターの校正周期はどれくらいが適切ですか?
-
一般的に「1年ごと」の定期校正が推奨されます。レーザーダイオードの経年劣化や光学系の汚れによる光散乱の感度低下を補正し、ISO等の品質規格への適合状態を維持するためです。
- クリーンルーム用の機器を、一般の工場内で使用しても問題ありませんか?
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重大な故障の原因となります。クリーンルーム用の機器は低濃度の微粒子を測るよう設計されており、一般大気や油煙のある工場で使うと「最大可測濃度(Coincidence Loss)」を超え、センサーが飽和・汚染されます。
高濃度環境には専用の機器(Model 8300等)を選定してください。 - 2.83L/minと50L/minの流量の違いは何ですか?
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測定にかかる時間と統計的信頼性の違いです。ISO 14644-1で規定されるサンプリング量を満たす際、2.83L/min(0.1CFM)では時間がかかりますが、50L/minや100L/minの大流量機なら短時間で信頼性の高い計測が可能となり、作業効率が劇的に向上します。
