建設現場のクレーン作業、ドローン飛行場の環境調査、太陽光発電所の安全管理など、屋外での風観測には**「全方位からの風」を捉える専用の測定器が必要です。 このページでは、20年以上の計測機器販売実績を持つ専門家が、コストパフォーマンスに優れた「風杯型」、風向きも同時に記録できる「風向風速計」、そして可動部がなくメンテナンスフリーな「超音波式センサー」**の違いと、現場に最適な機種の選び方を解説します。
種類別・屋外用風速計の違い(風杯型・風向風速・超音波式)
屋外設置型の風速計は、測定したい項目(風向が必要か?)と、メンテナンス性(可動部の有無)で選ぶのが正解です。
| 比較項目 | 風杯型風速計 製品一覧・価格 | 風向風速計 製品一覧・価格 | 超音波式風向風速計 製品一覧・価格 |
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| 測定項目 | 風速・気温 | 風速・風向・気温 | 風速・風向 |
| 仕組み | 3つのカップが回転 | プロペラや矢羽根が回転 | 音波の伝播速度差で測定 |
| 耐久性 | 普通 (回転部の摩耗あり) | 普通 (回転部の摩耗あり) | 非常に高い(摩耗なし) |
| 強風対策 | ◎(構造的に強い) | ◯(風上に向く必要あり) | ◎(強風でも壊れにくい) |
| 冬場の弱点 | 着雪・凍結で止まる | 着雪・凍結で止まる | ヒーター付なら凍結に強い |
| コスト | 安い | 普通 | 高い |
| おすすめ | クレーン警報、簡易観測 | 一般的な気象観測、 環境調査 | メンテナンス困難な高所、 厳密な長期観測 |
失敗しない選び方:あなたの現場に必要なのはどれ?
クレーン停止などの「警報」がメインなら
風向きに関係なく、「風の強さ」だけで作業中止判断をするなら、安価で構造がシンプルな「風杯型」が最適です。 設定値(例:10m/s)を超えたら回転灯を回す「警報接点出力」が付いているか必ず確認してください。
メンテナンスが難しい場所に設置するなら
鉄塔の上や山間部など、頻繁に修理に行けない場所では、回転部品(ベアリング)がない「超音波式風向風速計」が圧倒的に有利です。 物理的に回る部分がないため故障率が極めて低く、塩害や砂塵の影響も受けにくいため、トータルコストを抑えられます。
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屋外用風速計(風杯・超音波)に関するよくある質問
- 寒冷地で使う場合、凍結して止まってしまいませんか?
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回転部がある「風杯型」や「プロペラ式」は、着雪や凍結で回転が止まり、欠測するリスクがあります。 北海道や山間部などの寒冷地では、物理的な回転部がない**「超音波式」か、センサー自体を温めて凍結を防ぐ「ヒーター付きモデル」**を必ず選定してください。
- 「超音波式」のメリットは耐久性だけですか?
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いいえ、「微風(低風速)の感度」も大きなメリットです。 風杯型やプロペラ式は、風車を回すための物理的な力が必要なため、起動風速(回り始める風速)が1m/s程度必要な場合があります。対して超音波式は、空気の動きそのものを検知するため、0.1m/s以下のそよ風から正確に計測可能です。
- 校正(メンテナンス)の推奨周期は?
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気象庁検定品の有効期間は**「5年」ですが、品質管理の観点からは1年〜2年ごと**の点検・校正を推奨します。 特に風杯型やプロペラ式は「ベアリング」という消耗部品があるため、異音や回転の渋りが出たら修理が必要です。メンテナンスフリーの超音波式であっても、電子回路の点検のため定期的な校正は必要です。



