「現場にいくつも測定器を持っていくのが重くて大変……」 「温度、湿度、照度、風速を一度に測れる便利な機器はないだろうか?」
ビル管理や空調メンテナンス、労働安全衛生の現場において、複数の環境データを正確に測定することは必須業務です。しかし、それぞれの専用機を揃えるとコストがかさみ、持ち運びも不便です。そこで活躍するのが、1台で最大5〜9項目を測定できるマルチ環境測定器(多機能環境測定器)です。
ですが、いざ選ぼうとすると「測定項目」「データ記録の有無」「校正対応」などチェックすべき点が多く、どれを選べばよいか迷ってしまう方も少なくありません。
この記事では、計測器のプロが失敗しないマルチ環境測定器の選び方を徹底解説します。あなたの業務に最適な1台を見つけ、作業効率を劇的に向上させましょう。

マルチ環境測定器とは?導入のメリット・デメリット
まずは、専用機ではなくマルチ環境測定器を選ぶべき理由を整理します。
- コスト削減: 温度計、照度計、風速計などを個別に買うより安価に済む場合が多い。
- 携帯性: 1台で完結するため、現場への移動が楽になる。
- 効率化: 複数の数値を同時に表示・記録できる機種なら、測定時間が短縮される。
- 精度の確認: 汎用機であるため、超高精度な専用機(JISAA級照度計など)と比較すると用途が限られる場合がある。
- 同時故障リスク: 1台が故障すると全ての項目が測れなくなる可能性がある(予備機の検討推奨)。
技術担当プロのアドバイス 公的な報告書提出が必要な場合は、必ず「校正証明書」の発行が可能な機種を選びましょう。
安価すぎる海外製ノーブランド品は校正不可の場合が多いため注意が必要です
失敗しないマルチ環境測定器の選び方 5つの重要ポイント
数ある機種の中から自分に合ったものを選ぶための、具体的なチェックリストです。
もっとも重要なのが、「何を測る必要があるか」です。以下の組み合わせが一般的です。
- ビル管理・ビルメン: 温度・湿度・照度・風速・(CO/CO2)
- 労働環境測定: 温度・湿度・照度・騒音
- 空調設備: 風速・風量・温度・湿度
不要な機能がついていると価格が高くなるだけでなく、操作が複雑になることもあります。業務に必須の項目が網羅されているか確認しましょう。
測定したデータをその場でメモするのか、長時間記録してPCで解析するのかで選び方が変わります。
- その場測定(スポット測定): データ保存機能なしの安価なモデルでOK
例: マルチ環境測定器LM-8000AJ - 長時間監視・報告書作成: SDカードなどにデータを記録できる「データロガー機能付き」が必須
例: データロガー多機能環境測定器EMC-9400SD Excel出力できると報告書作成が格段に楽になります。
ISO取得企業や官公庁への提出書類としてデータを使用する場合、測定器が正しく計測できていることを証明する「校正証明書」「試験成績書」「トレーサビリティ体系図」が必要です。 通販で購入する場合でも、販売店が校正に対応しているか(「校正書類の発行可」と明記されているか)を必ずチェックしてください。
特に「風速」と「騒音」は注意が必要です。
- 風速: ダクト内を測るなら熱線式、吹き出し口ならベーン式(プロペラ)が向いています。
- 照度: LED照明に対応しているか確認しましょう。
- 測定範囲: 測定したい環境の数値(例:風速30m/sなど)がレンジに含まれているか確認します。
- 電源: 電池式は現場での交換が容易ですが、長時間記録ならACアダプター対応機が安心です。
- 画面: 暗い場所での測定が多い場合は、バックライト機能付きを選びましょう。
【用途別】おすすめのマルチ環境測定器スペック
ビルメンテナンス・設備管理向け
推奨スペック: 温度・湿度・照度・風速 + データロガー ビル管法に基づく点検や、空調機の性能確認に最適です。SDカード記録対応モデルであれば、複数のポイントを回って測定し、後でPCに取り込んで一括管理が可能です。


労働安全衛生・環境調査向け
推奨スペック: 温度・湿度・照度・騒音 オフィスや工場の作業環境測定に適しています。
特に「騒音」が含まれているモデルは選択肢が限られるため、5項目測定対応機(LM-8102など)が重宝されます。


簡易点検・持ち運び重視
推奨スペック: 温度・湿度・照度・風速(ポケットサイズ) カバンに入れておき、気になった時にサッと測りたい場合に便利です。
軽量で操作がシンプルなモデルが適しています。


よくある質問(FAQ)
- スマホのアプリでも代用できますか?
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参考値としては使えますが、業務レベルの正確さは保証されません。スマホのセンサーは通話補正用であり、環境測定用ではないためです。また、第三者への報告には「校正された専用測定器」の使用が求められます。
- 校正はどれくらいの頻度で行うべきですか?
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一般的には1年に1回が推奨されています。使用頻度や環境によりますが、重要な監査の前には必ず校正を行うことをおすすめします。
- 1台で全ての項目が高い精度で測れますか?
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最新の機種は高精度ですが、特定の狭い範囲を高精度で測る研究用途などの場合は、専用機(JIS規格適合の上位機種)の方が適している場合があります。一般的なビル管理や環境調査であれば、マルチ環境測定器で十分なスペックを持っています。
まとめ:目的に合ったマルチ環境測定器で業務を効率化しよう
マルチ環境測定器選びで失敗しないためには、「測定項目のマッチング」と「信頼性(校正対応・サポート)」が鍵となります。安さだけで選ぶのではなく、長く安心して使えるプロ仕様の機材を選ぶことが、結果としてコスト削減と信用力アップにつながります。
以下のページでは、今回ご紹介した選び方の基準を満たす、プロ厳選のマルチ環境測定器を比較・購入できます。即納対応や校正書類の発行も可能ですので、ぜひチェックしてみてください。
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マルチ環境測定器は「何を知りたいか」によって選ぶ機器が決まります。 迷われた際は、測定器の専門ブランドである私たちにぜひご相談ください。お客様の課題解決に最適な一台をご提案します。
